久し振りに過ごす自分の部屋で、泥のように眠ったらしい。
意識を失うように眠って、気付いたら朝を迎えていた。
早朝は苺の収穫を手伝った。
朝食後、父の姉夫婦の元へ行った祖母から電話が掛かってきた。
こちらへ帰って来たいのだという。
しかし、こちらはまだ断水が続き、先日補給して貰ったとはいえ灯油も無い。寒さが我慢できず一日中ファンヒーターを使い、毎日風呂に入らないと気が収まらない祖母には辛い環境だ。
その点、父の姉夫婦の家はオール電化で水道も復旧したため風呂にも入れる。
姉夫婦は大丈夫だと言うことなので、申し訳ないが祖母には水道が復旧するまで諦めてもらった。
早く元の生活に戻りたいのだろう。それはわたしも一緒だが、まだまだ難しい。
午前中は、母と共に食糧調達へ向かった。
まずはホームセンター兼スーパーへ。
先週行った時は店舗内へは入れなかったが、今日は入ることができた。ただ、入店規制が掛かっていて入るまでに20分ほど待たされたが。そうでもしないと混雑しすぎてレジなども対応しきれないのだろう。仕方が無い。
店内は、天井のあちらこちらが剥がれたり壁が崩れたりしていた。それでも営業しようとしてくれる精神は凄いと思う。
トイレットペーパーなどの生活必需品は品切れ状態だったが、生鮮食品を少し買うことが出来た。
猫のドライフードも買えたが、わたしが購入したもので普通の成人猫用のものは最後だった。高級なものかシニア用はまだ少し残っていたようだが。
もう一軒、スーパーへ立ち寄った。
そちらも入店規制が掛かっていて、入るまでに少し時間が掛かる。
今日は、ベーカリーコーナーで焼きたての食パンを買うことが出来た。ちょうど焼き上がる時間だったらしい。何とも幸せな匂いだ。
帰ろうとした頃、母の知人から電話がきた。
お互いに手に入りにくい食材を物々交換しようという。我が家は、葉物野菜を譲る代わりに卵を譲って貰えることになった。
こういう時、農家は強いと思える。
帰宅すると午後になってしまったが、部屋の片付けを進めることにした。
形は何とかできたので、物を入れ始める。
何とも雑然としてきて、自分の部屋らしくなってきた。
ここまで頑張って掃除して、また強い揺れなど来て崩れたら悲しすぎるが。
夜は、久々にわたしの親友が家に来てくれた。
先日も挙げた米・酒・ガソリンスタンドを扱う会社に勤務する友人だ。
メールで幾らかやり取りはしていたが、実際に顔を見ることが出来た安堵感は全然違う。
色々とお互いや周囲の話をした。
ガソリンの入荷は、はやり未定とのこと。
だというのに、燃料の入荷関係に関する電話がひっきりなしに掛かってくるのだそうだ。
灯油販売所のシャッターを少し開けただけで、灯油があるんだろうと言われるくらい。喧嘩腰の人も多いらしく、気が滅入ると言っていた。
タバコももう少ないらしい。
入荷時期が未定なため、こちらも一種の買い占め的なものが起きているのだそうだ。
酒類は売れるには売れるらしい。飲まないとやっていられない、という人が買うのだという。その気持ちも判らなくはない。
また、今日は警察が出動する事件が起きたそうだ。
友人の会社のガソリンスタンドが開く、というデマ情報がチェーンメールで流れたらしく、開きもしないスタンドの前に、長蛇の列が出来たという。
こんな時に、そんな迷惑極まりないメールを流さないで欲しい。
しかしそんなデマ情報に翻弄されてしまうくらい、みんな燃料の入手困難なこの状況に困り果てているということなのだ。
来週にはましになると言うが、本当に、一般車両もましになるのだろうか。
県外避難についての話も色々と聞いた。
友人の上司の奥さんと子供が、山形の親戚の家へ避難したらしい。家族揃った写真を撮っておけば良かったと、上司は言っていたという。
山形へはその上司の姉が送っていってくれたそうだが、向こうでもガソリンの購入に規制が掛かっているらしく、帰りのガソリンが手に入らずに姉も一緒にお世話になっているとのことだった。
その他の社員の中でも、急に出勤しなくなった者が居たという。連絡もなく県外へ避難してしまったということだった。
もうひとつ。
これはどこかで報道されているのかどうか知らないが、自主的に県外へ避難した人が何処ぞのホテルへ宿泊しようとしたところ、福島県民だからという理由で断られたのだそうだ。
恐怖から必死で逃げた人に対して、そんな扱いをするなんて……空気感染する訳でもあるまいに。
怖いのは判るが、福島県民をさも病原体のように扱わないで欲しい。
必要なのは正しい情報の判りやすい開示と、それを理解しようという意欲か。
情報の開示は様々なメディアで行っていると思うので、理解して、不当な扱いは止めて欲しいと思った。
色々とやるせない話もあったが、ともかく、今日は友人の顔を見られて良かった。