今日から平日。
会社から連絡は無かったが、一応、出勤してみることにした。
連絡が無いと言っても、昨日深夜まで電話回線が繋がらず、携帯電話は相変わらず通信がほとんど出来ない状態ではあったのだが。
いつもの道は使えないので、大きく回り道をして大きな道路へ出る。
地割れの場所や陥没して危険だった場所は、とりあえずの補修がされていた。
出勤すると、稼働しているようだった。
話を聞くと、日曜日も機械の修復作業が行われていたそうで、土曜のうちにわたしへもその旨連絡をしようとしてくれていたようだが、繋がらなくて断念したとのこと。
心配を掛けてしまったようで、申し訳なく思った。
仕事の方は、主に取引先の状態・安否確認に追われた。(ちなみにわたしはデザイナーと事務を兼務している)
西日本や関東圏の取引先は無事なところが多かったが、中には津波によって流されてしまった地域の取引先もある。
連絡が取れない、などという場所もざらだった。
また、連絡が取れてもしばらく稼働できないという場所も相当多い。
仕入れ先も相当やられていて材料の手配も難しく、地震で使い物にならなくなった在庫商品の把握等もかなり厳しかった。
職場も断水状態だったので、製造自体もいつまで出来るのか。
不安要素だらけだ。
というより、個人的にはこんな時に仕事している場合でも無いと思う。こんな状況で仕事が出来るだけ、ましなのかもしれないが。
……何とも逞しい会社だ。
もはや何をしていたのかなど詳しく思い出せないほど、あっという間に帰宅時間となった。
母から、会社帰りに何か飲み物を買ってきて欲しいとメールがあったが、スーパーは閉店してしまっていて購入することが出来ない。
幸いなことに、いつも利用しているコンビニが開店していたので寄ってみた。
けれど、品数も少なく、購入制限も掛かっている。
ペットボトルは500mlは2本までもしくは1l以上が1本まで。冷凍食品は2個まで。パンも2個まで。
おかず類、レトルト食品の棚は商品が並んでいない。水も無く、茶やスポーツドリンク類は少しだけ残っている。
飲み物はスポーツドリンクを購入。
パンも殆ど無かったが、買えるうちにと思って2個購入。
そして、気付く。
ドロリッチに抹茶味が出ていただと……
思わず購入した。
帰宅。
今日は、茶の間とキッチンが片付いたので、母屋の茶の間で食事をすることになった。
いつもの場所で食卓を囲んでいると、日常が戻ってきた気にさえなる。
けれど、室内を見渡すと、やはり爪痕が目立った。
日常が戻ったなどという事実は無い。ただの憧憬。
早く、“普通”が戻ってくれば良いのに。
そう思いながら、長引くだろうなという予感の方が強くあった。